7月20日、公開当日に『存在のない子どもたち』を観てきました。開演が9時25分だったので、6時前に駅まで30分以上歩いて行き、地下鉄の最寄り出口が閉鎖されていたため、道に迷いながらやっと劇場に辿り着きました。すでにかなりの行列ができていましたが、チケットを購入してビックリ!! なんと満席!! 50席余りの小さな会場でしたが、空席が一つもない状態。しかも静かに始まりを待つマナーの良さ。以前の貸し切り状態とは真逆の至福の時間を堪能してきました……。

 長編デビュー作『キャラメル』が高い評価を得たレバノンの女性監督ナディーン・ラバキーが、貧しさゆえに親からまともな愛情も受けることができずに生きる12歳の少年の目線を通し、中東の貧困・移民問題を抉り出した人間ドラマ。昨年見逃してしまって悔しかった『判決、ふたつの希望』と同じような感激を受けました。

 ひとつの小国のなかから続けざまに現れる傑作、共通するのは灯りの見えない絶望感。かつて中東のパリと謳われたベイルートが破壊されていく様子を、さほど関心も抱かずに傍観していた自分が情けなく思えてきました。部屋の掃除にたとえると、日々、目につくところは入念に埃を取るのだが、掃き散らかして舞い上がったゴミは隅の方に澱積もっていく。ついに何年も溜まったゴミを見てしまったような驚き!! 世界の矛盾の全てが凝縮したような光景に衝撃を受けました……。

 思うに社会矛盾の多くは、最も力の弱い人びとに向く。とりわけ子どもたちは急激な社会変化や経済格差の犠牲になることが多く、いわゆるストリートチルドレンが生まれることになるのだろう。

 ストリートチルドレンと言えば、ブラジルやルーマニアってことになるのだろうが、モンゴルのマンホールチルドレンを追った第56回ギャラクシー賞特別賞受賞のBS1スペシャル「ボルトとダシャ マンホールチルドレン20年の軌跡」は今年のTVドキュメンタリーの中では秀逸の作品。ひと言で言って、……凄かった。

 TVドキュメンタリーの在り方として、同じテーマを何年も追い続ける手法はとても貴重なものだと思う。前作同様「移住 50年目の乗船名簿 完全版」も必見!!! 必ず再放送があると確信しますので是非、チェックしておいてください。

 リオデジャネイロのことなら、『トラッシュ!  この街が輝く日まで』か、……でもファンタジーにしてしまうのはどうかナ。ここはカンデラリア(Candelaria) 教会虐殺事件の顛末を記したドキュメンタリー映画『バス174』でしょうが……。移民問題に焦点を合わせて評論しているのは久々の前田有一氏。予備知識として読んどかれても良いのでは。

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