2018年の邦画で最も印象深かった『カメラを止めるな!』を取り上げてみましょうか。これは2017年製作、公開の日本映画。監督&俳優養成スクール・ENBUゼミナールの《シネマプロジェクト》第7弾作品。監督・上田慎一郎にとっては初の劇場長編作品だそうで、全編96分。 略称は『カメ止め』、海外タイトルは『ONE CUT OF THE DEAD』だそうです。

 2018年6月から新宿K’s cinemaおよび池袋シネマ・ロサの2館で単独劇場公開が開始されたらしいが、SNS上の口コミで評判が広がり、8月以降、100館以上での上映拡大が行われ、全国累計上映館数は8月下旬時点で200館以上、10月上旬時点では300館以上となり、最終的には350館以上で210万人以上を動員したんだそうな。

 その間、あまたの映画批評家たちが絶賛し、芸能人の多くが肯定的コメントを連発。私は小栗旬がABC放送(関西のTV局)で自身の映画宣伝インタヴューで『カメ止め』一押しコメントを発するところを目撃した。さらには関西の朝の情報番組の多くが特集で取り上げていた。つまり、こちらが『カメ止め』ってなんぞや?とサーチするのではなく、勝手に向こうから絶賛コメントが入ってくるという異常事態だったと思う。

 アメリカでは時折、低予算のインディーズ映画が思わぬヒットを飛ばす。なんてことが起こるらしいが、日本でそんな現象を体験できるなんて、思いも寄らなかった……。

 「この映画、すごいらしいで……。」と妻に話を向けたら、「上田慎一郎って、あの上田君か?」と返事された。どうやら彼女は高校時代の上田監督を知っているらしい。彼女に言わせると、ええかげんな奴、何かやらかしそう、と言うのだが、管理する側からすると、次から次へと新しいアイデアが湧き出て、すぐさま行動に移すタイプは予測ができない分、対処方法に苦慮するってことだと思う。

 前半37分間は作中劇であるB級ホラーのゾンビドラマを上映し、後半の約60分間は一転して、そのドラマ制作に携わる人びとをコメディタッチで描く疑似メイキングフィルムという構成で進められいくのだが、公式サイトなどのあらすじは前半部分にふれるだけなので、見終わった時、どうしても後半部分を語りたい衝動に駆られてしまう。ついつい未見の人たちに「一見つまらないホラーに見えるけど、ほんとは違うんだなぁ。」と言ってしまう仕掛け?

 ムムムッ、これって完璧に制作者の意図にハマってるってことか?

 300万というごく低予算で作られた映画だし、多少の荒っぽさには目をつむって温かくこれからの才能を見守ろうと思って観ていたけれど、実は彼等の仕掛けた罠に見事にはまって、いったい何人の人に声かけしたことか。

お見事っ!!  参りました!! 本当に超一流の痛快映画でした。

 

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