ストリーミングつながりで、こんな大作を劇場でかけなくていいのかッ? という疑問が生まれる『アイリッシュマン』について、自分の思うところを……。

 これまた町山智浩さんが『たまむすび』で語ったことを参考にしてみます。YouTube でも聞けなくはないが、書き起こしてくださったものがあるので、字面を追いながら考えようか。町山氏の見解はもっともなところ。製作過程の状況をみても、大物スターの共演と数十年のという時間軸の映像化に膨大な経費が必要なのは必定で、あまりにもかさむ経費に出資者が難色を示したんだそうだ。そこに助け船を出したのがNetflix 、1億2500万ドルの出資を表明したため、そのまま製作が続行されることとなった。しかも、同社は本作の全世界配給権を1億500万ドルで購入した。

 こうなると、劇場公開は極めて限定的となり、フランスでは公開されることもなかったようだ。『ROMA』に次ぐ悪夢……。ついに映画はスマホで観るものに変わってしまったのか、あるいは金のある人は既にやっているだろうが、プロジェクタースクリーンに映し出せば、200インチまでいけるから劇場の雰囲気を味わうのも可能だ。

 だが、以前にDVD である必要性は、作品そのものだけではなく、実は観るまでの過程、いろいろ思案しながら選ぶ楽しさ、みたいなことを書いた覚えがあるが、同じだよ。映画館に赴く道筋、帰りに考える様々な思い……、それらを含めての映画だと思う。映画館の隣に住んでては味わえない至福の時間。小一時間ほど、様々な思いを巡らすことに意味があると思うけどなぁ……。

 町山氏は『アイリッシュマン』をスコセッシによるギャング映画の集大成、『グッド・フェローズ』、『カジノ』に続く三部作と位置づけているが、それは正しいだろう。だが、これを観た時期からすると、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』への返答歌(?)のように思えてならない。

 タランティーノよ、おまえら若造たちにとってのアンソロジー(?)はハリウッド映画なのかも知れないが、俺たち、ニューヨーカーにとってはコレなんだぜ! と言っているような気がしてならない。年齢的にこれが最後と思われるロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシによる男気たっぷりの世界。どちらの作品も、たっぷりと時間を使って表現する憧れの世界。それがちっとも長く感じない。……なんか、今年は当たり年のようだ。

 

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著者

fat mustache

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