前述のなかで紹介したシネマンドレイクさんの記事で『ホワイト・ボイス』を発見したので、早速観てみることにした。なるほど、この内容では公開されることはないだろう。なにしろ日本人を結構辛辣に描いているし、中国人と混同してエイジアンの括りで表現してしまったらダメだわな。

 さらに英語の喋りのニュアンスなんて微妙な部分が分からないと笑えないから、私のような字幕を追うのに必死な人間には、何のことやら……、さっぱりってことになりかねない。主役の声は、このホワイト・ボイスの部分を本当に白人がアフレコしていて、はっきり、その差を示しているけれども、ボォーッとしていると聞き逃してしまてそう……。

 ただ、含みを持たせた曲喩的な表現では多文化の入り交じった人たちには分かりづらいのでズケズケと直截な物言いで現代社会を批判しているのだ。その内容は、カリフォルニアのオークランドを舞台にしたフィクション作品。テレマーケターであるカシアス・グリーンは、栄光を手に入れることができる魔法のような方法を発見するが、そのために恐ろしい状況に身を置くことになってしまう。グリーンのキャリアが軌道に乗り始めると、友人や同僚たちが彼の企業に対する抗議運動を始める。カシアスはすぐに夢にも思わなかった高額な報酬をくれるコカイン中毒のCEO、スティーブ・リフト氏のとりことなってしまう……。というもの。

 額に汗することもなく、いともたやすく電話応対で取引する彼らは極端な差別化のなかで、上位のキャリアを手に入れようと必死にもがくが、成り上がるのはほんの一握り。「働く」意味を見失いかけた中で起こる抗議運動が、なんとも前近代的。解決策を示しているようで、それは絶望感を膨らますものでしかない。

 付き合っている彼女のやろうとするアート活動のように、仕事にしたってひとつひとつ丁寧に積み上げるものであることを描かないと意味をなさないだろう。誰でも簡単にできることで対価を得ようというのは虫が良すぎる。どんなことにも見えない部分での努力があり、それを「お金」だけで考えるのではなく、相手のことを思ってより心地よいサービスや心のこもった物を届けようとする気持ちが互いを幸せに導く。

 この映画はそういった肝心なことを忘れている。面白いがただそれだけ。

 同じような直截な言い方だったら『ファーストフード・ネイション』でしょうが。キムタクの宣伝するマックがますますおいしくなりそうな辛辣な内容。

 不法入国するメキシカンによって稼働する屠殺工場。その劣悪な環境では常人は勤まらない。そこに送られる牛はフィードロットで大量生産。ゲージから放しても逃げようともしない牛たち……。低賃金のファーストフード店ではヤル気のないバイトたちがテキトーにやっている。ギリギリまでコストカットして作られるハンバーガー……。牛丼も一緒だよ。

 

 

著者

fat mustache

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