『嘘八百 京町ロワイヤル』を観た。作品そのものへの興味より続編をどうつくるのかな? というところに主眼を置いて観ていた。なにしろ前作は思いのほかヒットしていて制作陣の気合いは充分、さらにパワー・アップをと意気込んで作られたに違いない。そう思っていたが、以外にも朝のTVでの番宣インタヴューでは14日間で一気に撮り上げたなんて言っていたので、どんなものか? ますます興味が湧いた。

 登場するメンバーは前作同様コメディと言えばという感じの不動のメンバー。ただ、前作を観ている人も多いから捏造を仕掛ける面面の説明を省き、やや、やっつけ感のある持って行き方に期待した内容と異なる雰囲気を感じてしまった。

 自分としては、現代の陶芸家である主人公が渾身の力作を創り上げるところ……。つまり、真作か贋作かということではなく、持ちうる全ての技量だけでなく、精神性においても先人を凌駕する高みにまで研ぎ澄まして仕上げた一品を利休の未発見の逸物として欺しにかけるという部分に共鳴していたのだが、今回のは既存の名品のコピーを作るという単なる詐欺映画。ちょっと趣が違い過ぎる。それではコンゲームに軸足を置いたコメディになってまう。残念だよ。

 また、主役二人の掛け合いの妙味。会話のリズムとテンポにおもしろみを感じていたのだが、聞き取りづらいというクレームでもあったのか、その肝心な部分が消失してガッカリ。

 どうも制作側の皆さんは前作がなんで当たったのか、シッカリ分析せずに続編を作ったような印象を受けてしまった。単なる悪徳商人や既存の権威を笠に着てふんぞり返る鑑定家への仕返しに喝采しているわけではないのに……。それだけだったら、よく観るつまらないコメディ。昨今の骨董ブームを支えているのは仕掛けた側ではなく、訳も分からず、その金額や付け加えられる解説に価値を見出そうとしている私たち自身の心に突き刺すような刃を向けなければ何の意味もない。

 そう、ブランド品に飛びつくお姉ちゃんたちと一緒。加えられる付加価値や金額の高さにしか価値を見出せない愚かさや無自覚ぶりを笑い飛ばしてこそ真価を発揮する。

 エンドロールにはつづくの文字。冗談じゃないッ! こんなんだったら、続けない方が賢明というものだ。まさかと思うけど、制作側の誰かがこのサイトを一瞥して、前作『嘘八百』で記した記事「 掛け合いやネ、コメディは。 」とこれを読み比べて正しい着地点を見出してくださることを切に願うばかりです。 

               

著者

fat mustache

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です