山崎努と樹木希林が洋画家・熊谷守一夫妻を演じるヒューマンドラマ『モリのいる場所』。稀代の変人、熊谷守一の自宅の庭には様々な動植物が生きている。わずかな宅地の小空間を、守一は30年以上、じっと眺めるのを日課にしていた。 フランス映画などにみられる画家の評伝作品とは一風変わった作りの映画。熊谷守一の日常を限られた空間の中で淡々と描き通す。

  何やら『人生フルーツ』に酷似するテイスト。 老境に至って、毎日を同じようなルーティンで過ごしながらも、豊かな心地で、充実した生活を映し出しながら、観ている者に何が大切かを考えさそうとしている。

  ところで、この『人生フルーツ』はちょっと変わった映画。もともとは名古屋の東海テレビが2016年に製作したドキュメンタリー番組。それを劇場公開したものなのだが、いまだに上映する所が続出する人気作品。残念ながらDVDとしては発売されていない。

 僻地に住んでるオレはどうすりゃいいんだょぉ! とお思いの方は仲間を募って自主上映って手段がありますよ。お金に余裕のある方はぜひどうぞ。

 今後のために……。私はBDで持っています。なんや自慢かッ! って顰蹙を買いそうですが、毎年10月にNHK BS プレミアムで「ベストテレビ」という前年の各種の放送賞を受賞した全国のテレビ番組(もちろん、民放もWOWOWも含んでいる。)を一挙に放送する番組があるのです。

 たまたま2017年の分を録画したら、監督の伏原健之さんも出演しており、制作者の思いもたっぷり聞くことができました。いいのに巡り会えるかどうかは分かりませんが、昨年は10月14日、15日の2日間。このあたりの日付けで注視してみてください。

  とにかく、物質的には恵まれ過ぎている現代では、欲しい物を獲得した時の達成感や充実感が喪失し、物を得ることで幸せを感じとることは出来なくなってしまった。まさに「慢性的飢餓状態」に置かれいるわけで、ただひたすら次に欲しい物を見つけては、あくせくかき集めるだけに人生を費やすような毎日……。疲れ果てた私たちに、こんな生き方はどう ? と提案するつもりで、これらの作品は作られているのかな。

  もっと思いっきりの自然を感じたい方には『ターシャ・テューダー 静かな水の物語』ってのもある。どうもこの人にはNHKがご執心らしく、四つも長編ドキュメンタリーを作っていて、つい、この間も再放送していた。『永遠のターシャ・テューダー 生誕100年 夢は今も息づいて』と『ターシャ・テューダーの森から ひ孫たちの秋そして冬』の2本。自然回帰派にはたまらない雰囲気ですが、骨の髄まで物質文明に侵された我が身には少々キツいかな……。

  『モリのいる場所』は、『モヒカン故郷に帰る』の沖田修一さんが監督も脚本も担当している。この人の撮り方は、なんか100パーセントを狙ったグイグイと肩肘張った力ワザではなく、70パーセントくらいでいこか? って感じのホンワカとしたムードが全体を包んでいる。 それでいてシリアスなんだなぁ……。

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