身近な人の死を扱う映画は多々あるが、『最高の人生の見つけ方』や『湯を沸かすほどの熱い愛』のように死期を悟った本人がやるべき事を思いつき、遂行するパターンは、そのけなげさに涙するものの、いざ自分に置き換えた時、果たして同じようなことが出来るかどうかはなはだ疑問に思う。

 恐らく、私にはそんな覚悟はなく、ただただ最期の時を待つことになるのだろう。

 最近観た『みとりし』という映画は、実際にある「看取り士」という資格を持つ 柴田久美子さんの経験を原案に製作されたイントロダクション的映画。温かい死を迎えるために、本人の希望する形で旅立つ人の心に寄り添いながら見届ける 「看取り士」を描いているが、抑揚を押さえた静かなトーンが基調になっているためか、鑑賞している時の隣の人のいびきが終始こだましていた。無理やり付き合わされたのか、興味が持てなかったらご退席いただいた方が有難いのですが……。

 だからというわけではないが、映画サイトのような高評価ではなく、ごく普通の映画としか考えられなかった。

 ただ、死に直面した時、本当に自分の望む最期を迎えるには、この人たちの力を借りなければならないと痛感した。臨終とはもともと 臨命終時のことで、臨終の場に僧侶が登場して,説教して引導を渡すことがあったらしい。日本の古代から中世にかけて,臨終の相の吉悪が,来世での成仏か堕地獄を現すとされ,臨終時に平静に乱れずに死ぬため,臨終行儀がつくられていたということだ。穏やかに死を迎えるために為すべきこと。それにはかなり時間をかけて考えることが必要だ。そういう場に付き合ってくれる看取り士という仕事はたいへんな仕事だと思う。私たちの思いを静かに聴きながら、考えの及ぶ方向を穏やかな方に導いてくれる、……とても自分にはできそうもないことだ。

 この映画の前に『人生をしまう時間(とき)』の予告編がかかっていた。これって、どっかで観たなぁ…、って考えていたら、思い出した。昨年6月にNHK BS1 スペシャルでやっていた「在宅死”死に際の医療”200日の記録」というドキュメンタリーを放送コードに引っかかりそうな部分を補って映画にしたものだった。残念ながら上映館が限られるうえ、今年の3月8日を最後に再放送の予定もオンデマンド放送もなさそうで、今から観る術はなさそうですが、同じようなシチュエーションで考えさせられる内容のようです。

 2本ともDVDで観られるまでには、まだまだ時間がかかりそうですが、待ち望んで損はなさそうです。

今のところDVDで観るなら『湯を沸かすほどの熱い愛』だけですか……。

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