何度観返してもいい映画に絞って話そうと考えていましたが、それではとても思いつきません。ここらでエンタメ色の強~いのでも、いきまひょか。日本では『ザ・シークレットマン』のちょっと後に公開された『トレイン・ミッション』。

 前者はウォーターゲート事件の内部告発者”ディープ・スロート”を主役にした社会派サスペンス、残念ながら彼に寄り添いすぎて、FBIの陰湿極まりない体質の暴露や本人の持つ負の部分の描写に欠けて、ありきたりの内容に終始したように思われるのに対して、『トレイン・ミッション』は走行中の電車内を舞台としたリアルタイム・サスペンス。閉鎖空間と迫り来る時間というハラハラドキドキのシチュエーション。面白さは超一流。観といて良かった! と思わせる佳作だった。

 監督はリーアム・ニーソンと『アンノウン』や『フライト・ゲーム』でタッグを組んできたジャウム・コレット=セラ。この人は、へんに何かの主張や意見を織り込んだり、社会的視点を一定方向に誘導するといった色気を持たず、エンタメ一色の堂々とした娯楽作品のみ監督している。その潔さもまた心地よい。

 リーアム・ニーソンと言えば、ローレンス・プロックの創り出したマット・スカダーシリーズの代表作『獣たちの墓』を原作とした『誘拐の掟』の記憶が生々しい……。原作を持つサスペンスが難しいってことは前に記したと思うが、既読の私にはスカダーがやや強靱すぎる印象はあったものの、細部までよく雰囲気を掴んで表現しているように思えました。

 考えりゃ、本だって難しい評論や学術ものよりも、ローレンス・ブロックのようなエンタメ本を見ている方が多いじゃないか! なにも格式張った社会派ばかりが映画じゃないんだから……。(言い訳がましいゾ! )ただ、読んだイメージとあまりにも乖離した映像となると、コリャ話は別。読後にこちらが描いた人物像をことごとく破壊していくようなトンデモ映画にぶち当たることもシバシバ、「もう、ええかげんにせぃ!!」と途中でブチ切るってことを何度も経験してしまっている。

 そこでトンデモ映画も紹介しとこうか。マット・スカダーシリーズの邦訳第1作目『800万の死にざま』。これは、もはやDVD の入手は不可能のように思えるので、ウォルター・モズリイによるイージー(エゼキエル)・ローリンズシリーズの『青いドレスの女』はどうかな? このシリーズはビル・クリントンの愛読書だとよ……。

 

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著者

fat mustache

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